クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした

「野々花さんの御宅に寄り、必要なものを揃え、車で現地に向かいましょう。新幹線やタクシーを使うより速いと思います」
「でも……」
「明日は休日ですし、遅くなっても問題ありません。それに野々花さんをおひとりで行かせるのは、俺も真純さんも不安です」

私は腹を決め、千石くんを加勢する。

「そうだよ、野々花！千石くんに頼もう。私も一緒に行くから」
「真純、申し訳ないわ、そんなの」
「千石くん、こう見えて本当に頼りになるの。自慢の部下だから、頼って。彼への御礼は私が美味しいラーメンでもおごるから」

わざと軽口をたたいて笑うと、千石くんが横から「焼肉がいいです」とそれらしい文句を付け加える。彼もノリを合わせてくれるつもりなのだ。

「ありがとう……頼らせてもらってもいい？」

野々花が涙目で言った。