クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
「っ……せんごくくんっ」

襟を乱して入ってきた手を思わず押しとどめると、間近にある千石くんの顔が困ったように笑う。

「そうじゃないでしょう?」
「こ、孝太郎……」
「よくできました」

軽くキスをされ、抗う間もなく彼の手に蹂躙されていく。
与えられる刺激に私は身体を震わせて耐えた。声を漏らしては大人げない気がした。翻弄され、篭絡されるのは怖かった。
私のかすかな抵抗を感じたのか、千石くんの手は容赦なくバスローブの裾をはだけさせ、太ももに指を這わせてくる。たどりつかれた部分に下着の上から触れられ、私は身を竦ませた。

「我慢しているあなたは可愛いですが」

千石くんは私にのしかかりながら、耳元でささやく。

「恥ずかしいとか、そんな感情、すぐにどうでもよくなると思います」
「や、やめ……」

やめてなんて言えるわけない。受け入れたのは私であり、そして何より私ももう引き返せない。彼が欲しい。
巧みに動く指に、息が弾む。下着を押しのけられ、丹念に触られる。吐息に声が混じってしまう。

「真純さん、可愛い」
「やだ、孝太郎っ」
「大好きです。あなたが、大好き。本当に愛しています」

ささやかれる愛の言葉。与えられる愛撫。

なのに、あなたは私から離れて行くんでしょう?
言えない言葉の代わりみたいに、私はいつしかあられもなく声をあげていた。彼がほどこしてくれるすべてに素直に感じ、声をあげ彼にねだった。
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