クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
「イエス以外、答えは欲しくないんですけど」
「もう、イエスだってば」

私は目の前の孝太郎の頭を勢いよく掻き抱いた。

「驚いたし、もうああいうのは絶対嫌だけど、……プロポーズはお受けします。それは本当」
「ありがとう、真純さん。幸せにします」

わずかに身体を離すと、孝太郎が私の左手を取った。薬指にリングをはめてくれる。カットされた大振りのダイヤモンドのついたリングはサイズぴったりだ。いつの間に調べたのだろう。
見つめ合うと嬉しさが溢れる。彼も私も裸で、世界には今、ふたりしかいない。私たちはどちらからともなく抱き合った。
孝太郎がぎゅうぎゅうと抱き締めてくる。抱擁の強さが心地いい。
その手がもぞもぞと私の背を這いだした。指先が背骨をたどり、尾骨へ。触れ方の意味に、焦って耳元でささやく。

「孝太郎、もう、した」
「足りない」
「明日、会社……」
「会社まで送ります」

止められそうもないみたいだ。ああでも、私だって彼がほしい。ずっと遠距離恋愛だった分、私も彼もお互いの熱が足りない。まだまだお互いがほしくて狂いそう。

「もう、困ったなあ」

困ってなんかいないくせに言う私、孝太郎が微笑んでささやく。

「結婚したら、毎晩ですから。体力つけてください」
「嘘でしょう」

毎晩、なんて抱きつぶされてしまいそう。
何度目かのキスを交わしながら、私たちはベッドに深く沈み込んでいった。バラの花束がベッドから転げ落ち、真っ赤な花弁が夢みたいに舞い上がった。


(おしまい)
< 175 / 175 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:707

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

元カレ救命医に娘ともども愛されています

総文字数/101,605

恋愛(純愛)158ページ

表紙を見る
かつて女の子だった人たちへ

総文字数/99,972

恋愛(その他)165ページ

表紙を見る
熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
  • 書籍化作品
[原題]じゃじゃ馬は馴らさずひたすら愛でるもの

総文字数/106,766

恋愛(純愛)207ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop