クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
「旦那が言うには昔は真面目だったって言うけど、最近はかなり遊んでたみたいじゃない。旦那以外の友達には武勇伝みたいに女の子の話をしてたらしい。ホント、あんな人だって知ってたら真純に近づけなかったのに!」

野々花は怒りながら生ビールのジョッキを傾けている。

「見抜けなかった私が悪いのよ。一度浮気がバレたとき、許しちゃったでしょ?それで味をしめたんじゃないかな。まあ、元々そういう人だったのよ」
「悪いのは100パーあっちなんだから、自分が悪いみたいに言わないので。真純はそういうところがある。責任の所在をいつも自分に求める」

だって、その方が楽じゃない。他人は変えられない。でも、自分は努力で変われる。自分の気持ちは自分でどうにかした方がいい。

「損しないでほしいのよ、真純に」

野々花が言ってからうーんと伸びをした。

「あー!それにしたってムカつくなぁ!どうにか復讐してやりたいわ!あのバカ男!」
「物騒ね。でもね、私と彼、結構合わないところだらけだったと今にしてみれば思う」

私はふふっと意地悪く笑ってみせる。

「まず、ごはんの食べ方?彼がお茶碗に箸をカツカツぶつけてかきこむのが、私すごく苦手で食事のたび苦痛だったの」
「あらまぁ」
「あと、まああんまり言えないところがね……相性が合わないっていうか」
「言うわね、真純!なんか安心したわ」

私のひそひそ話に、野々花が景気よく大きな声で笑った。
よかった、納得してくれたみたい。大事な友達の野々花には心配かけたくないんだもん。
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