クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
「ちなみに、資料のフランス語訳は俺の方でやりますので」
「え!?すごい大量じゃないの?全部って」
思わず大声で聞き返してしまう。富士ヶ嶺と、造船担当の浦波造船の資料をすべてフランス語訳するってことでしょう?レセプションを切り盛りして、中身の資料まですべて見るなんて。
っていうか、フランス語もできるのね……。
「社内にフランス語が堪能なのって千石くんだけじゃないはず。探すから手伝ってもらいましょう」
「量が多いだけで苦にはなりませんので、大丈夫です。間に合います。でも、そうですね……」
千石くんがふと考えるように人差し指で顎を撫でる。そして、ふっと意味深に笑った。
その視線は間違いなく私に向けられている。嫌な予感。
「レセプションが成功したら、俺と付き合うっていうのはどうですか?」
はい、きた。とんでもない提案。
いきなりそんなことを言われ、私は頬を引くつかせながら周囲を見回した。あと数分で昼休みだ。フライングでオフィスを出る営業部隊や部長陣を始め、誰が通りかかるかもわからない。幸いと言っていいのか、現在自販機前には私たち以外いなかった。
「なんで、そうなるの?」
ようやく聞き返すことができた。言外に、『付き合うわけないでしょ』が滲んでいると思う。
「割と活躍する予定ですが、労いをかけてはくれませんか?」
「労いで付き合いません」
「部下の操縦法としてご褒美を用意するのはいい策ですよ」
「それはそれ、これはこれ。……仕事とプライベートをごっちゃにしないで。そういうの嫌いなの」
「え!?すごい大量じゃないの?全部って」
思わず大声で聞き返してしまう。富士ヶ嶺と、造船担当の浦波造船の資料をすべてフランス語訳するってことでしょう?レセプションを切り盛りして、中身の資料まですべて見るなんて。
っていうか、フランス語もできるのね……。
「社内にフランス語が堪能なのって千石くんだけじゃないはず。探すから手伝ってもらいましょう」
「量が多いだけで苦にはなりませんので、大丈夫です。間に合います。でも、そうですね……」
千石くんがふと考えるように人差し指で顎を撫でる。そして、ふっと意味深に笑った。
その視線は間違いなく私に向けられている。嫌な予感。
「レセプションが成功したら、俺と付き合うっていうのはどうですか?」
はい、きた。とんでもない提案。
いきなりそんなことを言われ、私は頬を引くつかせながら周囲を見回した。あと数分で昼休みだ。フライングでオフィスを出る営業部隊や部長陣を始め、誰が通りかかるかもわからない。幸いと言っていいのか、現在自販機前には私たち以外いなかった。
「なんで、そうなるの?」
ようやく聞き返すことができた。言外に、『付き合うわけないでしょ』が滲んでいると思う。
「割と活躍する予定ですが、労いをかけてはくれませんか?」
「労いで付き合いません」
「部下の操縦法としてご褒美を用意するのはいい策ですよ」
「それはそれ、これはこれ。……仕事とプライベートをごっちゃにしないで。そういうの嫌いなの」