クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
はー、冷静に分析できちゃうほどに、私はもう大翔に興味がなくなってるみたい。そこはひと安心だ。
それと同時にこれまた冷静に大翔の次の言葉を考える私がいた。
うーん、もうなんとなくわかっちゃった。大翔が私に会いにきた理由。

「真純とは長かったからさ。離れてみると心配なんだよ。ちゃんと食ってるかなとか、変なヤツに騙されそうになってないかなとか」

『長かった』、ねえ。三年か。アラサーには確かにそこそこの時間だと思う。結婚を期待させるにも十分な時間。
それを軽く裏切ったのはあなたじゃない。

「心配してくれるのはありがたいけど、大翔には関係ないことだし、別に何もないから」
「別れても真純のこと大事に想う気持ちは変わらないんだよな。土曜さ、荷物の受け渡しっつうアレではあるんだけど、久しぶりにゆっくり話せないかな?近況報告っていうか。真純とはこれからもいい関係でいたいし」

ああ。
私は心の中で深く息をついた。

そうなのね。大翔は私を妹みたいに心配していて、別れた後もどうしてるか知りたいのね。私の好物を持って部屋にきて、じっくり語り明かして……。
そのままベッドインする気なんでしょう?

寄りを戻したいんじゃない。慣れ親しんだ身体を久しぶりにつまみ食いしたくなったんでしょう?
さらには、このままズルズルと身体だけの割り切った関係にでもできたら最高とでも思ってるんでしょう?

私ね、自意識過剰な方じゃない。でも、さすがにこのお誘いはわかるわ。そしてめちゃくちゃ引いてるわ。
そして、あなたのそういう意地汚いところは、付き合った当初から透けて見えてたし、心底嫌いだった!
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