クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
とにかく、今は彼からの誘いがいつ来るかに慄いている。携帯は仕事の兼ね合いもあるので、一応電話番号だけ知らせ合ってる。さすがに私的な約束で、電話してはこないと思う。
避け続けてたらうやむやにならないかしら。
そんな淡い期待を持ってしまう。
月曜の定時を過ぎた18時半、私たちは残業。残業にうるさい職場だけど、ここ数日は仕方ないって総務部長も認めてくれた。
すると思わぬゲストが登場した。
人が少なくなったオフィスのドアが開き、顔を出したのは涼次郎くんだ。
「こんにちは!お邪魔します!」
涼次郎くんは中学二年生、言わずと知れた社長の御次男で、小さな頃から会社には出入りしている。中学に上がってから、学校が近いせいか時折部活帰りなんかに寄るのだ。
「涼次郎くん、ようこそ。今日はどうしたんだい?」
帰る支度を始めていた総務部長が愛想よく声をかける。
「今日は父と帰る約束をしてたんですけど、まだかかるから総務で待ってなさーいって」
涼次郎くんはニコニコ答えた。いつも思うけれど、千石親子はとても仲良しだ。
ん?
っていうか……もしかしなくてもここにお兄ちゃんがいない?
ちょうど外出から戻ってきた千石くんがオフィスに姿を現す。
涼次郎くんの背中を見つけ、驚いて声をかけた。
「涼次郎、おまえ……」
「孝太郎、ちゃんと仕事してるのかよ?」
くるりと振り向き、涼次郎くんはひとまわり上の兄に朗らかに声をかけた。
避け続けてたらうやむやにならないかしら。
そんな淡い期待を持ってしまう。
月曜の定時を過ぎた18時半、私たちは残業。残業にうるさい職場だけど、ここ数日は仕方ないって総務部長も認めてくれた。
すると思わぬゲストが登場した。
人が少なくなったオフィスのドアが開き、顔を出したのは涼次郎くんだ。
「こんにちは!お邪魔します!」
涼次郎くんは中学二年生、言わずと知れた社長の御次男で、小さな頃から会社には出入りしている。中学に上がってから、学校が近いせいか時折部活帰りなんかに寄るのだ。
「涼次郎くん、ようこそ。今日はどうしたんだい?」
帰る支度を始めていた総務部長が愛想よく声をかける。
「今日は父と帰る約束をしてたんですけど、まだかかるから総務で待ってなさーいって」
涼次郎くんはニコニコ答えた。いつも思うけれど、千石親子はとても仲良しだ。
ん?
っていうか……もしかしなくてもここにお兄ちゃんがいない?
ちょうど外出から戻ってきた千石くんがオフィスに姿を現す。
涼次郎くんの背中を見つけ、驚いて声をかけた。
「涼次郎、おまえ……」
「孝太郎、ちゃんと仕事してるのかよ?」
くるりと振り向き、涼次郎くんはひとまわり上の兄に朗らかに声をかけた。