クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
待ち合わせたホテルは旧館の方で、テラスを通り新館へ向かう。新館は高層ビルだ。40階の最上階にある西欧料理の店舗に入る。
「千石様、お待ちしておりました」
千石くんの顔を見るや、案内の男性が頭を下げた。顔パス?こんなお店にしょっちゅう来てるってことだよね。そりゃそうか、今更だけど御曹司だものね。
奥には席が見え、一面ガラス張りの向こうに40階の夜景が見えた。
私も下準備としてこのホテルのレストランは色々調べた。このお店に来るんじゃないかと踏んで予算は準備したから大丈夫よ!
と、思ったら案内の男性は私たちを席には案内せず、細い廊下を進む。
「こちらでございます」
案内されたのは8畳くらいある個室だった。奥の一面は同じくガラス張りで、夜景を存分に楽しめる仕様。柔らかな間接照明がムードたっぷりで、いかにもセレブがお忍びで使いそうな空間だ。
「すみません、メニューはもう決めて頼んでしまいました。好き嫌いやアレルギーはないようだと聞いていますが、大丈夫ですか?」
着席し、案内の男性が出ていくと千石くんが言った。
好き嫌い?アレルギー?
「山根さんあたりに聞いたの?」
「その通りです。山根さんが色々教えてくれました」
悪びれもせずにっこり笑う千石くん。山根さんも本気で私たちをくっつけようとしてるわね……。
「あのね、千石くん、始めに言っておきたいんだけど、ここのお支払いは私が持つから」
最初にはっきりさせておきたくて言うけれど、千石くんはさらりと答える。
「申し訳ないんですが、ここは家族もよく使う店なので、払いはすべて家に請求が来るんです。俺も今日、現金は持っていないですし」
「じゃあ、あとで請求を私にして」
「ええ、気が向いたら」
絶対請求してくれない。絶対おごるつもりだ。
上司のおごりの名目で来た私の理由を潰す気だ。
「千石様、お待ちしておりました」
千石くんの顔を見るや、案内の男性が頭を下げた。顔パス?こんなお店にしょっちゅう来てるってことだよね。そりゃそうか、今更だけど御曹司だものね。
奥には席が見え、一面ガラス張りの向こうに40階の夜景が見えた。
私も下準備としてこのホテルのレストランは色々調べた。このお店に来るんじゃないかと踏んで予算は準備したから大丈夫よ!
と、思ったら案内の男性は私たちを席には案内せず、細い廊下を進む。
「こちらでございます」
案内されたのは8畳くらいある個室だった。奥の一面は同じくガラス張りで、夜景を存分に楽しめる仕様。柔らかな間接照明がムードたっぷりで、いかにもセレブがお忍びで使いそうな空間だ。
「すみません、メニューはもう決めて頼んでしまいました。好き嫌いやアレルギーはないようだと聞いていますが、大丈夫ですか?」
着席し、案内の男性が出ていくと千石くんが言った。
好き嫌い?アレルギー?
「山根さんあたりに聞いたの?」
「その通りです。山根さんが色々教えてくれました」
悪びれもせずにっこり笑う千石くん。山根さんも本気で私たちをくっつけようとしてるわね……。
「あのね、千石くん、始めに言っておきたいんだけど、ここのお支払いは私が持つから」
最初にはっきりさせておきたくて言うけれど、千石くんはさらりと答える。
「申し訳ないんですが、ここは家族もよく使う店なので、払いはすべて家に請求が来るんです。俺も今日、現金は持っていないですし」
「じゃあ、あとで請求を私にして」
「ええ、気が向いたら」
絶対請求してくれない。絶対おごるつもりだ。
上司のおごりの名目で来た私の理由を潰す気だ。