クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
そんなことを考えていたら、ニ課は11月末に格別忙しくなった。ラ・マレの契約をはじめ関連の契約が増えたのだ。契約書の作成管理はうちの仕事になる。
渉外業務は千石くんと山根さん、持田さんにまかせ、私は法務労務チームを手伝うことが増えた。
ある日、事件は起こった。
「すみませんでした!」
私と野口課長の前で頭を下げるのは法務労務チームの須原くんだ。私の二つ下の後輩で、去年営業から総務に移ってきた。
「本当に俺のミスで……申し訳ありません!」
須原くんの後ろでチームの面々も頭を下げている。連帯責任だと思っているのだろう。
そして、連帯責任なら一番悪いのは私だ。
ラ・マレと浦波造船の子会社の間で契約書の取り交わしミスがあった。
契約書に不備があり、それを作成したのがうちだったのだ。職人集団の子会社側にノウハウのある人間がいなかったこともあり、仲介役も兼ねる富士ヶ嶺が取りまとめをしていたのだけど、契約書に大きな誤りがあり、ラ・マレ側がこの子会社を外せと言ってきたのだ。
「ラ・マレは元々価格と部材に文句をつけてたからね。契約書の不備を逆手にとって文句を言いたいだけだよ」
野口課長が珍しく的を射たフォローをする。
「いえ!でも、自分が契約書を間違えたことが問題です」
須原くんは頭を下げ続ける。
法務労務チームは契約書の作成や管理、そして本契約の労務コンプライアンスも見ていた。かなり忙しい中、ミスが起こっても無理はなかった。
そして、それを見逃した私が悪いのだ。
渉外業務は千石くんと山根さん、持田さんにまかせ、私は法務労務チームを手伝うことが増えた。
ある日、事件は起こった。
「すみませんでした!」
私と野口課長の前で頭を下げるのは法務労務チームの須原くんだ。私の二つ下の後輩で、去年営業から総務に移ってきた。
「本当に俺のミスで……申し訳ありません!」
須原くんの後ろでチームの面々も頭を下げている。連帯責任だと思っているのだろう。
そして、連帯責任なら一番悪いのは私だ。
ラ・マレと浦波造船の子会社の間で契約書の取り交わしミスがあった。
契約書に不備があり、それを作成したのがうちだったのだ。職人集団の子会社側にノウハウのある人間がいなかったこともあり、仲介役も兼ねる富士ヶ嶺が取りまとめをしていたのだけど、契約書に大きな誤りがあり、ラ・マレ側がこの子会社を外せと言ってきたのだ。
「ラ・マレは元々価格と部材に文句をつけてたからね。契約書の不備を逆手にとって文句を言いたいだけだよ」
野口課長が珍しく的を射たフォローをする。
「いえ!でも、自分が契約書を間違えたことが問題です」
須原くんは頭を下げ続ける。
法務労務チームは契約書の作成や管理、そして本契約の労務コンプライアンスも見ていた。かなり忙しい中、ミスが起こっても無理はなかった。
そして、それを見逃した私が悪いのだ。