月光


「しょうがないよ。

購買部なんてこんなものだよ。」


慰めにならない慰めをかけると、雅はどんよりとした顔つきで食べ始めた。


ビビンバへの期待は相当だったらしい。


「……そういえば。」


咀嚼しながら雅が言う。


「ん?」


私も同じように訊く。


「華夏のお弁当って冷凍食品が多いよね。」


なんなんだこいつは。


人の食べている弁当に向かってそんなこと言うか?


「そうかも。」


「これとこれ、見たことある。」


そりゃあ大手の企業が作っているものだから一度は誰だって見るだろう。


「そうなんだ。」


「わたし、冷凍食品はおいしいけれど、毎日たくさん入れられるのは嫌だな。」


次は文句か。


それを言いたいなら、親に直接言えばいいのに。


なんでわざわざ食べている私の目の前で言うのか。


私はむかついてお弁当をしまった。


「どうしたの?

もうお腹いっぱいなの?」


は?


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