月光


美沙は隣のクラスだけれど、私と同じ状況らしい。


だから、お互いによく教室を行き来している。


今日は本当に来て欲しい。


このまま二人っきりだと、私はおかしくなってしまいそうだ。


この無言の空気もあまり好きじゃない。


無言の空気自体は嫌いではないけれど、雅といると、どういう訳か私がつまらない人間なんじゃないかと思えてきてしまう。


私がどんなに雅の興味のありそうな話を振っても何も反応してくれない。


学校がこんなにもつまらないなんて、初めてだ。


叫びだしそうだ。


「私だってお前みたいなつまらない奴となんて、好きで一緒にいるんじゃないんだ」と。


だけど、そんなのはお門違いだ。


痛いほどに分かる。


誰のせいでもなく、私のせいなのだから。


「……か、華夏!」


「……え?」


「どうしたの?」


「どうしたのじゃないよ!

次、理科の実験でしょ!」


「……ああ、そうだったね。」


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