月光
「最近ぼんやりし過ぎじゃない?」
「まあ、いろいろ。」
「部活もあるし、テストもあるし大変だよね。」
別にそんなことはどうでもいい。
私は、ただこいつといることにうんざりしているんだ。
今日は部活がないから早く帰ることができる。
早く家に帰って休みたい。
先生の話を上の空で聞きながら、今日の放課後のことを考えていた。
「ねえ、華夏ちゃん。
ここの書き方ってこうで合ってる?」
「……え?何?
ごめんね、もう一回お願い。」
全然聞いていなかった。
「レポートの空欄、こうで合ってる?」
「そうそう。
ここに解剖図を描いて、隣に考察を書けばいいんだよ。」
「ありがとう、さっすが優等生!」
私の成績なんて知らないはずの子が満足げに言った。
私とは正反対にキラキラした可愛い女の子。
こういう子は、私みたいな地味な人と話すことも全く抵抗がないのかもしれない。