月光


年が明け、ますます学校に行くのが億劫になってきた。


日曜練習がなくなり、休日はやることもなくひたすら走っていた。


特に遊ぶ予定もなく、私なりに中学二年の冬を楽しんでいた。


今日は河川敷を走って川の分流地まで行く。


冬は風が強いけれど、走ると丁度いい冷たさになるから結構好きだ。


それに、走っていると嫌なことも忘れられる。


今は部活の方がいい。


中一の時はあれほど嫌がっていたのに。


自分の虫の良さといい、都合の良さといい、呆れるばかりだ。


乾いた笑いを漏らすと、歯に風が当たって痛い。


……また明日から学校か。


英語の予習、数学の宿題、この前の校外学習のレポートの下書き。


人間関係、部活。


やることはたくさんある。


だけど、今だけでも現実逃避をしたくて私は走る。


この強風のせいで私以外に河川敷にいる人はほとんどいない。


野球少年か、休日をめいっぱい活用しようと自転車に乗る大人くらいだ。


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