月光
やばい。
今日に限って体育がある。
バレーボールだから、絶対に一度はボールが回ってくる。
サッカーのような多い人数でやるスポーツなら、ボールを追いかけるふりでもしていればいいけれど、こんな中途半端な人数でやるスポーツは絶対にボールが回ってくる。
着替えながらまた身震いする。
果たしてこれは気温のせいなのか、体調のせいなのか。
「華夏、一緒にチーム組もう!」
「……いいよ。」
歩いていると、地面が少し波打っている感じがする。
これはもう立派な体調不良だ。
認めると、さらに具合が悪くなった気がする。
今日は部活を休んで帰ればいい。
「ええーっ、チームもう決まってるってー。」
雅が残念そうに言った。
「そうなんだ、誰と一緒なんだろう。」
「華夏と一緒がいいなあ。」
歩きながら、私って風邪を引いていても受け答えだけはハキハキ出来るんだな、と思いながらチーム分けの紙を覗き込んだ。
……架音ちゃんと舞奈ちゃんと美佳か。