月光



やばい。


今日に限って体育がある。


バレーボールだから、絶対に一度はボールが回ってくる。


サッカーのような多い人数でやるスポーツなら、ボールを追いかけるふりでもしていればいいけれど、こんな中途半端な人数でやるスポーツは絶対にボールが回ってくる。


着替えながらまた身震いする。


果たしてこれは気温のせいなのか、体調のせいなのか。


「華夏、一緒にチーム組もう!」


「……いいよ。」


歩いていると、地面が少し波打っている感じがする。


これはもう立派な体調不良だ。


認めると、さらに具合が悪くなった気がする。


今日は部活を休んで帰ればいい。


「ええーっ、チームもう決まってるってー。」


雅が残念そうに言った。


「そうなんだ、誰と一緒なんだろう。」


「華夏と一緒がいいなあ。」


歩きながら、私って風邪を引いていても受け答えだけはハキハキ出来るんだな、と思いながらチーム分けの紙を覗き込んだ。


……架音ちゃんと舞奈ちゃんと美佳か。


< 71 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop