月光
「あたしなんかしょっちゅう喧嘩だよ!」
舞奈が言った。
「うちらってお互いにいつも言い過ぎちゃうんだよね、それでよく言い合いになるんだ。」
そっちの方が羨ましいくらいだ。
「試合始めてー!」
先生が言い出して、私達は自分の立ち位置につく。
人間関係も、こんなふうに固定されてしまうのだろうか。
一度決められた立ち位置に一生居続けるのか。
「ハナちゃん、サーブ!」
「うん、分かった。」
ボールを放つと、不恰好だけれど、入った。
「ナイス!もう一回!」
……そうだった。
バレーボールのサーブは点数を取られるかミスしない限り終わらないんだった。
なんで今日に限って。
何度目かの『今日に限って』。
もう一回ボールを打つ。
……入った。
チームにとってはいいことだけれど、私にとっては最悪の事態が起きている。
だけど、わざと外せばいいものの、バカ正直に私はずっとサーブを打ち続けた。