月光


そのあとは、養護の先生に体調を伝え、熱を測ってから一時間くらいベッドで休んだ。


次に目を覚まして、もう一度熱を測ると、寝る前よりもずっと上がっていた。


体温を見た瞬間、もう歩ける気がしなかった。


……ああもうインフル確定だ。


人間って意外と数値に左右されやすいんだな、なんて思いながら先生に言われるままに帰る準備をしていた。


電車に乗ってからは、とにかく乗り換えを普段通りにできるようにすることにひたすら神経を使った。


よくも毎日こんなことを出来ていたなと普段の私に驚いた。


やっとの思いで家に帰ると、お母さんは仕事でいなかった。


悪寒の酷くなる中でストーブだけつけて横になった。


部屋着に着替える気すら起きない。


かなりの時間、寝入ってしまったらしく、外はもう暗くなっていた。


「起きた?大丈夫?

病院行こうか。」


お母さんが私の顔を覗き込んで言う。


言われるがままにうんうん頷いて、病院へ行った。


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