月光


あれからきっかり三日で熱は下がり、明日から登校出来る。


「ちょっと散歩してくる。」


「熱がぶり返さない程度にねー」


「分かってる。

そんなにかからないと思うから。」


窓を掃除しているお母さんはあまり聞こえていないらしく、何も返ってこなかったから外に出た。


久しぶりの外は、気持ちいい。


一瞬どこへ行こうか迷って、結局目の前にある河川敷に行こうと決めた。


午前のこの時間は、お年寄りか子連れのお母さんくらいしかいない。


芝生に座ると、まだ冬の寒さが残っている。


横になると、太陽を全身に浴びられて温かい。


「ねえ」


最初は誰かを呼んでいるのだと思った。


「あんた、こんな所で何してんの?

芝生に寝そべって。」


……それって私しかいないじゃん。


「……なんですか?」


「うわ、起きないのか。

変なやつ。」


「……誰?」


「あんたと同じ、学校に行ってない人。」


< 79 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop