月光
「ただいま」
「おかえり、どうだった?
外、寒かった?これからお母さん買い物に行ってくるから。」
「コートを羽織ればちょうど良かったよ。
心配ならマフラー持っていったら?」
「そうする。行ってくるね」
「うん、行ってらっしゃい」
ドラマも全て消化してしまい、やることが何もない。
……あいつと話していればよかった。
あまりに暇で、学校の用意を始めた。
科目を確認して、必要な教材を鞄に詰めていく。
特別に必要なものは、雅が教えてくれることになっている。
……授業、ついていけるかな。
たった数日間学校に行かないだけで、こんなに不安な気持ちになるなんて、意外だった。
部活は休んだ方が優越感に浸っていられるのに。
久しぶりに見る教科書は、とんでもなく難しく見える。
数学も、今の私には難しく思える定理も、みんなはとっくに理解してもっと先の方に進んでいるだろう。