深紅の薔薇姫に愛を
「あのとき、ツカサとメシ食いに行く予定だったんだ。でも、全然来ないからあそ

こへ行ったんだ。そしたらね………」

悲しく笑う彼。眉を下げて、目を細めて。

…だけど、あたしが傷着いているからって彼があたしに味方する必要はない。

「…でも、なんであたしをこんなにしてくれるんですか?」

あの女とあたし………どっちかなんて、ひと目みただけでは分からないはず。

「知ってたんだ。あの女、クロだってこと。」

そのことに対しても、また心臓が跳ねる。

「だから、麗薇ちゃんのこと、心配なんだよ。」

まだ、あたしを心配して、信じてくれる人がいたなんて……。

信じられない……。しかも、琉側の人間が……。

「ありがとうございます。」

あたしが頭を下げると、彼は寂しくわらった。

「また、ここ来てね。」

ここは憂いさんのお店なのか、あたしにそういってくれた。

あたしはお店をでると、どこかしらへ向かった。

ただ、無性に誰かに会いたかった。倉庫に戻ろうか……、

だけど、さっきあたしは学校を飛び出した。

しかも、千紘とはすこし亀裂が入った気がする。

帰りぬくいな……。そんなことを考えているうちにも、あたしの足は止まらない。

スマホはどんどんバイブしていく。GPSが付いているきがしてスマホの電源を切っ

た。あたしは、どこへ向かっているの……?自分でもわからない。

『琉が麗薇ちゃんを探している。』

憂いさんが言ったその言葉。あたしには、恐怖の対象でしかない。

普通の女の子なら、琉に追われて嫌なんて言う子は大体いないだろう。

だけど、あたしは……。こわい。あの人とあって、今の自分が壊れていくのが。
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