深紅の薔薇姫に愛を
地面に雫が落ちていく。雨でもないし、あたしが泣いているわけでも、無い。

これは、璃麻の涙なのだとあとから気がついた。

”如月先輩は生きているの?”

今の璃麻にそれを聞くのは酷なきがして、あたしは喉に飲み込んだ。

………こんなにも、璃麻が悲しんでいるのはあたしのせいなんだよね。

でも、どうすればよかったの?琉に合わなかったらよかったの?

じゃあ、あたしが父親に反抗したのが行けなかったの?

じゃあ、あたしはずっとお人形さんでいたらよかったの?

どうすれば、よかったの?

あたしの疑問は渦を巻く。黒い、醜いかたまりになっていく。


電話を終えた漣があたしたちのほうへ向かってくる。泣いている璃麻をみて驚いた

のか、慰めようと背中をさすっている。

「…友初、好きなんだよ。私はずっと、、」

あたしはひとりの幸せを奪ってしまったの?よく、分からないんだ。

しばらくあたしはそこで2人をみて、棒立ちしていた。

漣はこの子が大切なのだろう。あたしが付け入る隙なんてない。

また、ここにも居場所なんてない……。

あたしはどこへ行っても、ひとりなんだね。

どこからともなく、複数のバイクの男が当たりに響く。
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