深紅の薔薇姫に愛を
「……麗薇っ!」

焦ったかの様な、悲痛の叫びの様な声であたしを呼ぶ。

やっと見つけた、というように安泰のため息をついている。

でも、その人達は今のあたしにとっては1番会いたくなかった。

………なんで、ここに来たのよ。

「……璃麻と麗薇がなんで?」

あたしと璃麻が近くにいたのが珍しいのか、あたしたちを凝視している。

あとに続いた3人も、あたしたちをよーく、見ている。

千紘は、何故か悲しそうな顔をしている。きっと、あたしにあんなことを言ったか

らだろう。そして、あたしが傷ついてしまったと思ったから……。

「麗薇と璃麻、知り合いなの?」

あたしたちの間に流れるのは、ピリリとした空気なのにそれも読まずにいつもどう

りのホンワカとした明るい声で千鶴は話す。

「皆、この女が友初を殺したのよ!」

あたしのほうを指さして、憎いという瞳をあたしに向けてくる。

自分は安泰の場所にいて、男にあたしが悪いと言いつける。

その光景はあたしにとってはデジャヴュだった。

みんなは璃麻の言葉を信じてしまったのか、またあたしを見た。夏の直射日光に当

たったみたいに焦げてしまいそうなぐらいに見つめられる。

「……麗薇、ほんとうなのか?」

遙真があたしに聞いてくる。やっぱり、璃麻を信じるんだ。みんな、あたしを信じ

てくれない。




………どうして?


「ほんとなわけないじゃない!」

普段声を荒らげたりなんてしないあたしが、珍しく荒らげていた。

それだけ、必死だった。また、拒まれるのが怖かった。

……いつか、自分で自分を守れなくなるんだろう。

いつか琉にあって、あたしはきっと壊れてしまうんだろう。

そして琉この隣にいてしまうんだろう。
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