深紅の薔薇姫に愛を
「わかったから、落ち着け。」

あたしたちの間にはいって、大河はあたしを宥めようとする。

それでも璃麻はあたしに対する言葉をやめない。

「……こいつのせいで、、友初は飛び降りたのよ!」

真っ直ぐ見つめれば、璃麻の目には涙が溜まっている。もうすぐ、その雫が落ちて

しまいそうだった。

「……あたしがなにをしたって言うの!」

あたしも負けじと反抗する。こんなところで、ようやく掴みかけたなにかを手放し

たくない。どんどんヒートアップするあたしたちにびっくりしたのか、千鶴が提案

をだした。それは、『討論するなら、倉庫でしよう!』ということ。

これは討論なんかじゃない気がするんだけど。

倉庫にいくため、あたしたちはバイクに乗る。漣の後ろは、璃麻だった。

……きっと、漣の彼女は璃麻なんだろうな。

あたしは千紘に引っ張られ、千紘のバイクに乗せてもらった。

「……さっきはごめん。関係ないとかいって。」

顔はこっちに向いていないけど、あたしにはハッキリときこえた。

いつもなら、あたしにきつい言葉を浴びせるだろう千紘は、なんだか優しい千鶴と

同じに見えた。爽やかな風と、千紘の匂い。あたしは目を閉じた。
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