深紅の薔薇姫に愛を
”葉瀬が姫にした女”を見極めてみたいのかどうなのかを見分けることは出来ないけ
ど、きっと彼らにはあたしにこんなに良くする理由があるはず。あたしを好き、な
んてことではないんだと思う。現に、あたしに好意を寄せる感じなんて微塵もない
”女好き”の大河も、あたしに笑いかける目は笑っていないし、目の奥は暗闇のそれ
が広がっている。
「去年は遙真とこの別荘だったから、次誰にする?」
千紘のその何気ない会話に、あたしはものすごいものを感じた。
「え、遙真の家ってお金持ちなんだ……!」
……すごい!なんて、あたしが言えたものではない。だけど、あたしはお人形さんだ
父親が与えたその家で、ひっそりと隠れて暮らすのだ。そして、父親に利用される
それが、あたしの人生なのだ。
あたしの家にも、一応別荘はある。1度だけ、生きていた母親の側の祖父があたしを
連れて行ってくれたのだ。だけど、それから大騒ぎになりあたしはあの家を出るこ
とができなくなったのだ。
「そうだよ。あと、ここにいるみんな、別荘持っているよ。」
なんだろう、この完璧の集まりは。この前の期末テストだって、漣は滅多に授業に
出ないのに軽々しく堂々の首席だった。あたしは漣に続いた2位。それ以外のみんな
も10位内に入っていた。スポーツ万能、ときたら女子にもてないはずがない。
……みんなもあたしと同じような環境で生きてきたのなら、あたしの思いは分かるの
だろうか。
ど、きっと彼らにはあたしにこんなに良くする理由があるはず。あたしを好き、な
んてことではないんだと思う。現に、あたしに好意を寄せる感じなんて微塵もない
”女好き”の大河も、あたしに笑いかける目は笑っていないし、目の奥は暗闇のそれ
が広がっている。
「去年は遙真とこの別荘だったから、次誰にする?」
千紘のその何気ない会話に、あたしはものすごいものを感じた。
「え、遙真の家ってお金持ちなんだ……!」
……すごい!なんて、あたしが言えたものではない。だけど、あたしはお人形さんだ
父親が与えたその家で、ひっそりと隠れて暮らすのだ。そして、父親に利用される
それが、あたしの人生なのだ。
あたしの家にも、一応別荘はある。1度だけ、生きていた母親の側の祖父があたしを
連れて行ってくれたのだ。だけど、それから大騒ぎになりあたしはあの家を出るこ
とができなくなったのだ。
「そうだよ。あと、ここにいるみんな、別荘持っているよ。」
なんだろう、この完璧の集まりは。この前の期末テストだって、漣は滅多に授業に
出ないのに軽々しく堂々の首席だった。あたしは漣に続いた2位。それ以外のみんな
も10位内に入っていた。スポーツ万能、ときたら女子にもてないはずがない。
……みんなもあたしと同じような環境で生きてきたのなら、あたしの思いは分かるの
だろうか。