深紅の薔薇姫に愛を
遙真の笑顔は美しい。

…まるで宝石だ。彼の過去にどんな辛いことがあったのか、今のあたしには追究できない。

だって、あたしたちの間には見えない境界線がある。

その先はあたしの知らない世界で、あたしは手を伸ばすことを許されない。

「……ん、美味しい!」

気を紛らわすため、1口かじるとエビせんの味とその食材の味がしっかり味わえる。

「麗薇。あっち座れるみたいだからいくか。」

あたしは素直に頷くと、漣の後をおった。

ゲタは走り抜くくて、カラカラと音を鳴らす。

この音は、今あたしがここにいるという証明なきがした。

「フッフッフフ…」

突如聞こえた奇妙な笑い声に疑問を持ちながら聞こえた方をみると、怪しく笑う大河がいた。

なんで笑ってるのだろうか。

あたしには彼が突如狂ってしまったことしか考えられないのだ。

「テッテレー」

まるでアニメの何かのように腕を頭の上に挙げ、手に持っていたのはたこ焼き。

「それが、どうしたの?」

さっきの千紘とは、まるで違う興味のない乾いた声。

「おっきいたこ焼きだよー!」

みんなが気づいてくれない……と目を腕て隠し鳴き真似をする大河。

「千鶴、焼きそば頂戴。」

そんな彼を置き去りに、千紘は千鶴の買ってきた3個の焼きそばのうち、1つに手をつけた。

まだ玉せんを頬張っているあたしに対して、千紘はもう食べ終わっている。

……どんだけ食べるの早いのよ……

そんなことを考えていると、何故か笑えてくる。

鳴き真似をする大河と、静かにその手に持つたこ焼きを食べる漣と遙真。

それから気にもせずに普通に焼きそばを食べる千鶴&千紘兄弟。

大河がなんだか可哀想に思えて、あたしは……

「おっきいね。あたしたこ焼き好きよ。」

そう、フォローを入れた。
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