深紅の薔薇姫に愛を
あたしは意識を手放した。

大好きな琉の腕の中で。だけど、鼻をくすぐるのはあの匂いじゃない。

「……なんで……」

そう呟く声が聞こえた。

琉、どうしたの?

涙で霞み、ぼやけた視界ではハッキリと顔を見ることは出来なかった。

支える腕が優しくて。

あったかくて。

こんなにも安心したのはいつぶりだろうか。
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