深紅の薔薇姫に愛を
「……麗薇。」

そう呼んで、あたしを抱きしめて。

そうして、好きだって笑って。あたしの存在があってもいいって、証明してほしい

あたしはいていいの?あたしは生きてていいの?

なんの取り柄もない。ただ、捨てられるだけの女。

なんであたしはあたしなんだろう。

なんであたしは”華王麗薇”なんだろう。

いままで生きていた中で、あたしには幸せがなかった。

どこを探しても不幸ばかり。

なんて、被害者ぶるなと言われるのかもしれないけど。

いつしかあたしの頬を暖かいものが伝う。

「泣くな。」

幻聴なのだろうか。夢の中の浅瀬でそう聞こえたきがしたの。

あたしは目を開けた。

「麗薇、泣くな。」

やっぱりあたしが抱きしめていたのは漣だった。

あたしの涙を親指で優しく吹いてくれる。

その優しさがいまは辛い。

あたしの無力さを痛感するから。

辛くて怖くて苦しくてにがい。

「漣、漣っ!」

漣はどうしてこんな重いあたしのそばにいてくれるんだろう。

「漣のこと、好きになってもいい?」

普通の女子なら可愛い質問としてとられるだろう。
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