深紅の薔薇姫に愛を
あたしは右の頬に漣からの愛を受けながら、再び眠りについた。

今を幸せだと思える。

明日を迎えられる。

そう、感じられるのだ。

あれほど矛盾を嫌っていたあたしが、矛盾の愛も受け入れようとしている。

……これは、あたしが漣を好きだということなのだろうか。

どうやって琉を好きになったのか分からない。

心に”好き”という気持ちが植え付けられていたのだろうか

”薔薇姫”という立場にいるのならば、総長の琉を好きになるのが妥当だったよだろうか。

いまさら、わからない。


愛の存在も、愛の確かさも。



だけど。






「漣、好き………」








そう、こぼしてしまったから。




歯車を回してしまったから。





狂わせてしまったから。






_________もう、戻れない。






頬にキスをして。


額にキスをして。


少しだけ慣れていることに、漣はおこる。



あたしの幸せはどこにあるというの………?
< 141 / 223 >

この作品をシェア

pagetop