深紅の薔薇姫に愛を
俺はその時から、そいつについて行くと決めた。

……それは千鶴も一緒だった。

それから新しく作られたという”桜龍”に入った。

そのときはまだ、俺と千鶴、漣と大河だけだった。

夜の街をパトロールしたり、宣伝といえばいいのか分からないけど、バイクでのって桜龍を知らしめた。

そのあとには遙真が入ってきて、そこそこ楽しかった。

自分が強くなって大河たちとやりやえるようになると、それこそ達成感が湧く。

自分の求めているものはこのアオハルなのだと思った。





─────2人に一つづつ与える

そんな昔の考えはない。

俺たちはふたりで一つ。喧嘩では特に。

テレパシー並の俺たちのハモリに、誰も抗うことはできない。

『華王麗薇です。』

護りたいものができた。握れば折れてしまいそうな細さの彼女。

いつまでも優しくして、一緒に笑っていたい。

彼女の怯える表情(カオ)を見る度、そう思う。

誰がなんのために、彼女を苦しめるのか。

そのすべてから護ってあげたい。


「もしもし、千紘?!あのね、今襲撃されてて……早く戻って来て!」

「は?………わかった。」

「千紘、どうした?」

ジャンケンゲームをしていた遙真が電話を聞いていたのか、質問を出す。

「いま、襲撃されてるって………」

弟、千鶴をさがすとき、ふとおもった。

「今日、倉庫大河しかいないんじゃないのか?」

幹部が一人は残る。これは鉄則。

「あ、………たしかにそうだ、」

あの麗薇の切羽詰まった声。自分に助けを求める声。

そのすべに引き寄せられる。

「行くぞ!」

千鶴を見つけた瞬間、俺は駆け出した。

バイクの速度制限なんて知るか。

……いまは、いまは、麗薇のもとへ駆けつけなければいけない気がする、

なにもかもを放り出しても、彼女を助けなければ…、

……漣はどこいってんだよ!

どこが襲撃してるのかは分からない。

だけど、強いところだと思う。きっと大河が麗薇に電話をかけろと言ったのだろう

副総長の大河が早く出ていかなきゃいけないぐらいなんだろう。

────まってろよ、麗薇。
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