深紅の薔薇姫に愛を
side 麗薇

あたしはどうすればいいの?

『愛してる』そう言われて、戸惑っている自分がいる。

「じゃあ………じゃあなんであの時あたしを傷つけたの?」

あたしを愛してたのに、どうして置いていく必要があるの?

「──麗薇。本当に人を愛するためには、”優しさ”と”強さ”がいるんだよ。」

「俺たちにはそれがまだ足りなかったんだよ。」

”優しさ”と”強さ”か。

「でも、琉たちはちゃんと強いじゃない!」

北の我龍は琉が総長に就いてから攻められたことはない。

「”まだ”だよ。」

あたしには分からない。

………何が強さなのか、なにが優しさなのか。

あたしが気を抜いていると、彼は再びあたしを抱きしめてくる。

「離してっ!」

「────ごめん。傷つけて」

その言葉に、あたしは押し黙る。

せり上がってくる思いを必死に閉じ込めていたのに、今更謝られると心がどうしようもなく揺らぐ。

「……あ、たしは…」

あたしが必死にことばを絞り出すと、外でガシャンと聞こえた。

「───麗薇!!」

総長室のドアを勢いよく開けたのは……

「……っ!」

「……漣!」

彼は構わずあたしのほうに歩いてくる。

開いたドアの向こうにはスニーカーを履いた人の脚がみえて、漣が倒したのだとわかる。

「……琉、てめぇ何してんだよ。」

「やあ、漣斗。早かったね。」

漣は琉を睨んでいるし、琉はあたしの手を離さないまま。

「なんか萎えたしまた今度にしようかな。」

ぱっとあたしの手を離した。すると今度は漣の腕の中へ。
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