深紅の薔薇姫に愛を
水着……どうしよう。菜月と香夏に頼もうかな。

早速あたしは2人に連絡を入れた。

「じゃあー決まりだな!各自、準備すること、、!」

大河のその言葉で、お開きになった。



────この時のあたしは思いもしない。

この旅行で”真実”を垣間見てしまうなんて……。

あたしの首を、あたしで占めてしまうなんて……思ってなかった。







そして、迎えた旅行日。

……なんと、あたしは寝坊してしまった。

「……お前、おせーんだよ!」

寝起きのボサボサの髪のまま、朝ごはんをたべていると千紘に頭を叩かれる。

「だって、なんかぐっすりねれたんだもん。」

久しぶりにスッキリと眠れた気がする。嵐の静けさをのこして……。

1番遅く起きたあたしに、みんなが合わせてくれているようで。

あたしは急いで着替えた。花柄フリルのオフィシャルに長めのスカート。

髪はクルクルでハーフアップに。

「……行くぞ。」

漣のすべてを制する声に、あたし達はしたがった。

今日は螺旋階段からではなく、正面に向かっていった漣。

「……冬(ふゆ)。頼むぞ。」

冬と呼ばれた赤髪の男の子。背は漣には及びないけれど高い、

きっとこの子は時期総長か幹部候補なんだろう。

「わかりました。漣さん、任せてください。」

どうやら大河たちは先に行ったようだ。

「姫さんも楽しんできてくださいね。」

冬くんは笑ってくれた。

「……ありがと!」

あたしも、笑って返した。だけど、そんなに嬉しいというわけではない。あたしのことを、姫さんと呼んだから。
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