深紅の薔薇姫に愛を
「……早く行けよ。目障り」

普段よりも低い声で言うと、やつは逃げていく。

はあ。こんなところまで”薔薇姫”が広がっているなんて。



「……麗薇?」

「え?」

……いまのを、見られてしまっていた?そしたら、どうする?

”薔薇姫”の戦い方は独特と言われている。翔びの戦い方が多く、手をあまり使わない。それは、琉に女は手を傷つけんなって言われたからなんだけど。

「…あー、えっとー」

地味に勘のいい千紘にはバレそうな気がするんだけど……。

「麗薇、お前……」

やばい……。バレた?やっぱり喧嘩するのはリスクが高かった?

「ちゃんと荷物いれたよな?」

「……え?」

てっきり、お前は”薔薇姫”なのかとかいわれるのかと思ったら荷物の話……?

「うん。いれたよ?」

「なんかお前の荷物がやけに少ないんだと。」

「あ、あたし自分で持ってるもん。」

そーいって、あたしは荷物を見せた。

「はぁー。」

また、千紘は電話をかけ直す。電話をするときはあっちを向いているからさっきのは見られてないと思うけど……。

「バレなかった……」

あたしはその場にしゃがみ込んだ。

心臓が止まりそうだった……。もしばれたら、、きっと傍には居られない……。
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