深紅の薔薇姫に愛を
この気持ちを、”愛している”という言葉で縛り付けてもいいのだろうか。

「俺はお前を愛してる」

涙が溢れる。

好きなひとに、”愛してる”といってもらえること。それが嬉しくて……、

「あたしも……愛してる」

そうやって、愛を返す。

突然はじまったこの恋が正解なのかはまだわからない。

だけど、このひとの傍にいたいとおもうから……。

また、キスを繰り返す。

どんどん深くなって、息がみだれて、涙がこぼれる。

漣が与えてくれる気持ちに答えたくなって、必死で流されないように……。

「麗薇、可愛いよ」

すこし頬をあかくして、あたしを褒めてくれた。

「……漣は、あたしの欲しい言葉をくれるね」

上にいる漣に、柔らかく微笑む。

「麗薇だから……」

他の女なら、こんなこといわない。そういってくれる。

あたしは彼の首に手をまわして、自分からキスをしていた。

あたしたちはカレカノなのか。

あたしたちは恋人なのか。

あたしは姫になるのか。

まだまだ分からないことだらけだけど、ずっとこのひとといたい。

「これってもう、俺ら付き合ってんだよな?」

「そうだね……」

人生2回目の彼氏は、突然の恋の相手だった。

そして、元彼の最強の敵だったのだ……。
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