深紅の薔薇姫に愛を
翌日の朝。

カーテンから少し漏れた光は細い線をつくる。朝の目覚めと、天気の良さを表している。

「おはよー」

あくびをしながらみんながいるところにいくと、千紘と遙真以外は起きていた。

「千紘と遙真はまだねてるの?」

1番に目に入ったのは、浴衣が着崩れしていて、すこしだけ寝癖がついている漣。

それだけで、幸せだと思うし、顔に熱が集まる。

「あの二人は低血圧モンスターなんだよ」

朝からコーヒーにシロップを6つもいれて飲んでいる大河。甘党の限度、超えちゃってるじゃん。

「起こすと怒られるかんじ?」

「そうだね……特に千紘はすごいよ、朝」

兄をよく知る千鶴は散々な目にあってきたのか。

栗色の大河はぴょんぴょんはねた寝癖が、それが素だと主張している。

逆に髪の毛サラサラ男の千鶴は寝癖なんて、ひとつもない。

きっとこんな光景、学校の女子が見たら嬉しすぎて倒れちゃいそうだな。

「じゃ、あたしおこしてくるー」

「遙真と千紘は部屋わけてるからねー。」

テキトーに返事をして、まずは近い遙真が眠るところへ。

「はーるーまー朝だよー」

そろりと襖をあけて、太陽の光を入れる。

ぐっすり寝てるみたいで、あたしの音にピクりともしない。

「おーきーてーよ!」

勢いよく、彼の布団をはぎとった。

「……もう、ちょ、っと」

舌足らずに喋る遙真は猫みたいでかわいい。こんなの、低血圧モンスターでもないじゃない。

「だめっ!今起きるの〜」

ゆさゆさすると、少しずつ彼の顔にシワが寄っていく。

「…うっせぇ」

いつもの遙真でも、さっきの遙真でも考えられなかった低音ボイスの遙真、

あたしはこんなのでびっくりしないからね!!!

そっぽを向いてしまった方へ回って、耳元で囁く。

「ねえ、遙真。起きて」

「…っ、麗薇?!」

「おっはよー!」

掠れた声で、びっくりしてあたしの名前を呼ぶ。

「びっくりした……」

これぞ寝起きドッキリってやつ?違うか。
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