深紅の薔薇姫に愛を
あー、もう!千紘ったら、どーゆーつもりのわけ?

「おいおい、そんなにほっぺた膨らませてどーした?」

みんながいる部屋についたあたし。そんなあたしを、大河はのぞき込む。

「千紘があたしのこと、からかうから……」

「麗薇、許してやって。あいつ、悪い気分にはさせるつもりじゃなかったはずだならさ。」

クスクスとわらいながら、千鶴は千紘の気持ちをしゃべる。

「千鶴が言うなら許してあげないこともない……」

そんなこんなで千紘が起きてきて、朝ごはんを食べて、また海にきた。

相変わらず彼らはかっこいいし、女子にモテモテ。

「漣は今日泳がないの?」

漣は黒のパーカを着て、パラソルの下に座っている。

「ああ。麗薇と一緒にいたい」

彼はあたしの手を取って、手の甲にキスを落とす。

「ちょ、漣……」

あたしは恥ずかしくて目を逸らした。

「麗薇……」

優しく、激しく、欲情に濡れたひとみ。

「あ、かき氷!!!」

あたしはぱっと手を離して、かき氷のお店へ走っていった。

恥ずかしくて逃げてしまったのだ。

昨日はなかった場所にあって、人が行列を作っている。

「漣、並んでいい?」

つべこべ言いながらも、あたしに着いてきてくれた漣にあたしは相談。

「ああ。俺もかき氷食べたいし。」

パーカも、多少暑いようだ。

最後尾に並んで、なんとか会話を繋げる。

「漣って、憧れの人とかいないの?」

「”憧れ”?」

「うん。」

咄嗟に出た質問はこれだった。

「相良さんだな。」

……”『憧れていいのかはわからないけど』”

あたしはその言葉を聞き落としていた。
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