深紅の薔薇姫に愛を
「ツカサ、離して」

「久しぶりの再開なのに、それはないんじゃない?」

その甘い声で、あたしを脅した。

あたしはこの声が好きだった。この声で、”麗薇”と優しく呼ばれるのが心地良かった。ずっと、こうしていたかった。

「幹部じゃないツカサが、なんでここにいるの」

彼はバイク専門だ。だから、幹部室には顔を出せなくて幹部とは名乗らない。

「亜衣梨が来て、お前がいなくなったころからなったんだよ」

幹部があたしを追いかけるけど、総長でキングである琉は見らない。

そうして、ツカサはますます強くあたしを抱きしめる。

「本当は離したくなかった。ずっと、こうやって抱きしめたかった」

自分の思いを閉じ込めて、それだけ琉に従っていたいのだろうか。

「いっとくけど、その扉はあかないよ~?」

少し楽しんだような吏人の声が聞こえる。

「じゃあ、いつまであたしはここに入ればいいの?」

……はやく、漣に会いたい。

はやく会って、キツいぐらいに抱きしめたい。

激しいキスをしたい。ずっと、漣の存在を感じていたい。

「少なくとも、桜龍を潰すまではいてもらう」

「……咲夜、それどーゆこと?なんで桜龍を潰すの?」

声が震える。

”桜龍”が潰されるっていうことは多分決定している。

そして、殴り掛かるのは我龍、蘭龍、凛龍だ。

そうなれば、桜龍は一溜りもないだろう。

……せめて、”薔薇姫”としてのあたしが行けたら、、

「決定事項だ」

優雅に階段を降りてきたのは、王様、琉。

琉が現れると、あたしを見えやすいようにし、ツカサは手を離す。

……それは、昔から変わらなかった。

「戻ってこい、麗薇」

闇に飲み込まれる。

まるで、今までの日々が夢だったような感じだ。

もう、全て分からない。


もう全てがどうでもいいから……さ、お願い。
桜龍だけは、潰さないで─────。
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