深紅の薔薇姫に愛を
「……どうして、そんなこと分かるの?」

あたしは信じてる。漣斗が、あたしのことを助けに来てくれることを。

「あっちには緋嶺が帰ってきてるはずだからな」

「あかねって誰なの?」

首に置かれた手に力が加わることは無い。

「漣にとって、切っても切れない縁をもつ女だよ。」

……胸が切なく疼く。

息が詰まって、声にならない。

だけど、あたしは漣斗を信じてる。

あたしは、漣斗たちが来てくれること、菜音が無事なことを、願っている。

「あなたの目的は何?四天王を潰すこと?あたしに復讐すること?それともただの実力誇示?」

そういうと、時雨は乾いた笑をこぼした。

「ハッ!さぁな。今のお前に教えるギリはねぇな」

その質問に隙か出来、あたしはありったけの力であたしの上に跨っていた時雨を退けた。

そして、ドアにむかった。

「この写真がみえーのかっ!」

走り出したあたしに、時雨が投げつけたのは、幼い『あたし達』の写真だった。

微笑むあたし達と、可憐に咲いた白薔薇。

イマミヤと、琉と、漣斗と雫雲。

それからあたしと______















麗薇、だった。

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