深紅の薔薇姫に愛を
side 千紘


「れーんっ!」

麗薇を取り戻すため、情報収集をしている最中、倉庫にトラブルメーカーがやってきた。

「は?お前、緋嶺?」

銀色のボブの髪、ハニーブラウンの瞳。

1階に降りていた漣に向かって、走り出す。キャリーバッグをもってしたのに、その場に置いて漣のもとへ駆け寄っていく。

「漣、好きだよー!今度こそ、結婚しよ!」

女は漣の首に手を回し、飛びついた。

「……離せ」

漣はいま相当怒っているらしく、知り合いらしき女にも冷たい。

「漣、怒ってるのー?てゆーか、”アノコ”は?」

女が”アノコ”というと、思い切り顔を歪めた漣。

「居ないのもとーぜんか。姉の名前を名乗るなんて」

「え?」

女の言葉に、大河が反応した。

「なあ、それってだれの話なんだ?」


パソコンを覗いていた遙真も、会話に入る。

「確か、”咲薇”って名前じゃなかった?今名乗ってるのは”麗薇”だった気がする」

漣の瞳が鋭く光って……女の襟を掴んで睨みつける。

「緋嶺、出ていけ」

麗薇は麗薇って名前じゃなくて…”咲薇”って名前ってこと?


漣のギラついた瞳に怯んだのか、女はキャリーバッグをもって出ていった。

「漣、どういうこと?麗薇はなんで……」

漣の握った拳は、震えていた。瞳はぎらついて、少しだけ反省の色がみえる。

「漣……?」

何も喋らなくなった漣に、千鶴が呼びかける。

「麗薇が本当は”咲薇”って名前なのは、俺ら四天王の目的だった。」

髪をクシャりとする。
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