深紅の薔薇姫に愛を
「あたしのスマホだ。」

千紘の声に被せたようになるあたしのスマホ。

「あ、もしもし菜月?」

タイミングよく掛けてきたのは菜月だった。

「ねー、麗薇今日学校休みなの?」

あたしは不意に登校すらしていないことに気がついた。

これも、漣のせいじゃん!!

あたしは盗み見するけど、怖くてすやめた。

「あ、ごめん。ちょっと色々あって……

また、連絡するねー。」

待たせると怖そうなので、早めに電話を切った。

「ごめん。で、なんだって?」

「実はね、最近僕達学校休んでたでしょ?」

千鶴のほうか声がして、振り向く。

「ちょっと交戦があったんだよ。」

交戦って喧嘩ってことだよね。

「で、いくつかの族が潰れたんだ。」

千鶴に引きづづいて、千紘が話す。

「それは、ある族から反乱因子が送られていたからなんだ。」

「反乱因子って、なんなの?」

喧嘩の専門用語とかではなさそうだけど。

「問題の種みたいなものだ。」

漣があたしの疑問をカバーする。

「それで、僕達幹部と接触のある麗薇ちゃんが傷つけられるかもしれないんだよ」

千鶴があたしのほうを向いて、いたわるように手を握った。

「あたしが、傷つけられる……?」

傷つくのは、慣れているから平気だ。

…そのあと、愛してくれるなら……、
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