深紅の薔薇姫に愛を
「荷物多くて俺呼ばれるとかめんどいんだけど。」

車から下りた彼は不機嫌ぽい。

「ごめんね、千紘。」

あたしが謝ると、千紘が目を逸らした。

やっぱ、怒ってる?

「ごめん、千紘。麗薇乗せて倉庫行っといてくれ。」

不意に鳴り出した電話に出ると、漣は千紘に謝って黒のヘルメットを被り行ってし

まった。

……漣、どこいったんだろ。

「麗薇、行くよ、」

漣の背中を見つめていると、千紘があたしを引っ張った。

「漣が、気になるの?」

千紘はあたし低い声で尋ねた。

「え、いや。別に……」

車に乗り込むと、走り出す。

となりに座っている千紘は無口だ。

千紘は、最低限あたしとは仲良くしない。

する必要がないんだと思うけど。



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