深紅の薔薇姫に愛を
千鶴がいたらな。

そしたらこのどうしようもない空気を明るくしてくれたと思うのに。

どんよりとして、くらい空気。

千紘は助手席に座って窓の外をみている。

あたしに興味なんてないらしい、

漣と風を感じながら通った道を再び通る。

………あたしは何をしているんだろう。

ふとした瞬間、あたしはそうおもってしまう。

一つ一つが無駄ではないかと考える。

余分な時間を使いたくないんだ。

着いたみたいで、千紘は一足先に車から出る。

あたしは荷物を持って、下りた。

定番の倉庫の横にいく。

ほんとに幹部は普通の入口から入らないらしい。

しばらく歩いて、ついた螺旋階段。

「貸せ。」

そう言って、あたしの荷物をもった。

千紘は意外と優しんだな。

「ありがと、千紘。」

あたしは素直に千紘に甘えることにした。

照れくさいのか、彼はあたしのほうを見ず先に上がってしまった。
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