深紅の薔薇姫に愛を
心のこもったごはん、なんて初めてかもしれない。

あたしには幼い頃の記憶が、ない。

ある日から始まって、今に至る。

少し落ち着くと、あたしは今抱えてる1番の疑問を口にする。

「漣って、どこ行ったの?」

思わず口にすると、空気が張り詰めたきがした。

「どうせ璃麻んとこだよ。」

璃麻(りま)って誰だろう。

………女?

………もしかして、漣の彼女?

じゃあ、なんであたしを総長室に住まわるのって話だよね。

……女好き?

いや、きっと違うだろう。

何か、理由があるはず。

空気が強ばるその理由が。

”璃麻”を追究するな、と言われているみたいな空気感にあたしは何も言えなかった

あたしには、分からないことが多すぎる。

知りたいのに、あたしの心の扉は開いてくれない。

”ほんとにいいの?”と自分が自分に問いかける。

「遙真、起きてこないね。あたしのせいかな?」

食べ終わって、ふといない人に気づく、

……”女嫌い”の遙真だ。

「麗薇のせいじゃなくて、あいつは眠ったらなかなか起きないの。」

大河の全然気にしていない声が耳に届く。

そんな大河は今女の子にメールをしているのだろう。

メールが来たことを知らせる音が連続してなっている。

その度、その度、少し拒絶の色がみえたのは気の所為だろうか。
< 42 / 223 >

この作品をシェア

pagetop