深紅の薔薇姫に愛を
「麗薇、早く起きて。」

意識が覚醒してきて、あたしは目を覚ます。

「…ん、おはよう」

目を開けると、そこにいたのは意外にも遙真だった。

「…はる、ま?」

目を覚ましたとき、あたしの前にいた遙真は悲しい顔をしていた。

なんでそんな顔してるのかわかんなくて、あたしは手を伸ばす。

……遙真の頬に向かって。

「なんで、そんな顔してんの?」

初めて触った遙真の頬。冷たくて、生きてるような感覚じゃない、

「……っ」

少しビクッとした遙真。

でも、それはほんの僅か。

「麗薇、行くぞ。」

女嫌いなはずなのに、彼は頬にあったあたしの手を握って歩いていく。

どこ、行くんだろ。

彼はドアを開けて、下のホールみたいなところに繋がる階段を降りていく。

「初めて通った…」

思っていたより広くて、ビクッくりする。

遙真と手を繋いでいるあたしは疑問の視線を向けられていて。
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