深紅の薔薇姫に愛を
”初代桜龍総長”

漣のきている特攻服にはそう刺繍されている。

初代…?!って作った人って事だよね。すごい……。

目の前の光景に声が出ない。

「傘下も来てるから、迷子になるなよ。」

「あ、うん。」

遙真の存在、忘れてた…。

改めて遙真をみれば、赤の特攻服に”初代桜龍幹部”の文字。

寝る前に私服に着替えたけど、こんなところにあたしが居るの場違いじゃない?

「ね、遙真。なんでこんなに人集まってるの?」

あたしの戸惑いを隠すように出たと言葉。

すると、遙真はため息をついて、

「今日は傘下の族ができた日だから、暴走するんだよ。、」

確かに、暴走族なんだから暴走するよね。

再び漣たちのほうをみれば、青の特攻服をきているガチガチ金髪の人に頭を下げら

れている。

「行くぞ。」

もう話し終わると踏んだのか、またあたしを引っ張る。

少しの距離だから、あっという間にそこにはついた。

「麗薇寝すぎだぜー。」

女の子たちのあいだを退け、あたしの方へやってくる大河。

「どうせ、今日は遅いんだしいいんじゃない?」

千紘は冷たくあたしのほうをチラリとみてそれ以上喋らなかった。

「ねえー、大河。この女、だれ?」

多分、大河の取り巻きはレディースの人達なんだろう。

金髪で相当派手だ。

「うーん、俺たちの大切な子、かなぁ?」

……”大切な子”、か。いつぶりだろうか。そんなに言ってくれたのは。

「麗薇、来い。」

バイクの音が響いてうるさくて、なにも聞こえないはずなのに、彼の王様の声はあ

たしによく響いて聞こえた。
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