深紅の薔薇姫に愛を

しばらくすると、漣は走ってこっちに戻ってくる。

それに比例して、周りはバイクをふかす。

「ね、漣、大丈夫だった？」

少し戸惑っているあたし。見たことのあるような同じような世界。

「ああ。ただの雑魚だ。」

黒い集団は何も無かったらしい。

「でも、今日暴走って広めてないのにな……」

ふと、漣がこぼした言葉。

おかしい、そんなふうに思っているのはあたしだけではないらしい。

ブルルッ

爆音が激しくなって、あたしはそっと黒い集団を覗き見た。

すると、その集団がこっちに走ってきていた。

誰もが黒いのパーカーを。

誰もがフードで自分の顔を隠す。

……見られたくない、というように。

あたしは気になってもうすぐ車の横を通るだろうバイク集団をみた。

すると、1人を先頭にどんどん広がるような扇形での暴走。

……あたし、この形知ってる、

でも、違うよね……？！

お願い、違って………。

チラリと今横に通る先頭の人を見た。

……う、そ、

で、しょ………？

お願い、違うと言って。

『お前、そんな女だったんだな。所詮はこれかよ、。』

掠れて浮かぶその記憶。

『お前、最低だな。信じてたのに。』

”麗薇”という存在ではなく、”お前”という存在になる。

画面が、揺れる。

お願い、違うと言って……。

今、目が合ったのは琉ではないと………。

『ははっ！お前の絶望したその顔、最っ高！』

どうして、あたしの苦しみを笑うの。

どうして、あたしを責めるの。

『嘘だよ。俺がお前なんか愛してるわけないだろ、自惚れんなよ自意識過剰女。』