深紅の薔薇姫に愛を
『あたしの理想のタイプは、優しくて気配りが出来て、笑うと可愛くてなによりあ

たしがとっても好きな人、かなぁ。』

そう、昔のあたしは分かっていなかった。

そんなもの、口先だけのものだと。

理想のタイプとやらが揃う人なんて滅多にいない。

だから、探すの。

恋をして、彼をもっと知っていくの。

誰かが言った。昔のあたしに、優しい声で。あたしに言った。

『じゃあ、麗薇ちゃんはそんな人が現れるまで恋しないの?』

そう、そのひとはあたしに正論を言った。

誰か、ではなく。

その人は……琉だった。

”優しくて、気配りが出来て”

そんものとは正反対だ。

愛して。

愛して。

愛して。

そんな欲に溢れている。あたしは。

そう、愛されたいの。

あたしの窪みを埋めて。
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