深紅の薔薇姫に愛を
手で飲み物を飲んでいる仕草をして、あたしのほうに向くそのひと。
「あ、俺、慧っていいます。よろしくお願いします、麗薇さん、」
この人が、あたしを”麗薇”と呼ぶことにとても安心している、
人に過去を知られたくない──────、
そうして、あたしはずっと境界線を引いてきた。
親密にならないように、嫌われないように。
ただ、あたしはお人形さん。
「あ、俺、慧っていいます。よろしくお願いします、麗薇さん、」
この人が、あたしを”麗薇”と呼ぶことにとても安心している、
人に過去を知られたくない──────、
そうして、あたしはずっと境界線を引いてきた。
親密にならないように、嫌われないように。
ただ、あたしはお人形さん。