深紅の薔薇姫に愛を
………言いたいなら、言えばいいじゃない。

………聞きたいなら、聞けばいいじゃない。

でも、それを言わないのは漣にも考えがあるのだろう。

その代わりに、彼は。

「麗薇はどうして、背負っている荷物を下ろさない?」

あたしを傷つけるのは、背負っているこの記憶だ。

「言えば、きっとみんな離れていく。あたしはそれが怖い。」

やっとできた、あたしの居場所のように思えたから───。
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