深紅の薔薇姫に愛を
キズをもっているのは………きっと麗薇も同じだ。

「漣ー、俺もうねていいー?」

少し酔っぱっているのか、へろへろの千鶴。

「ああ。いいぞ。」

「俺も寝るー!」

そういって、風呂に飛び込む大河。

大河は一見、女にチャラそうで遊んでそうに見えるが実際はその逆である。

副総長としての名は伊達ではなく、チームの指揮をとったり一人一人のスキルアッ

プにやくだっている。

大河は普通のとき、俺を”漣”と呼ぶ。

それは、自分にきっとレッテル貼りをしている。

大河も少なからずキズを負っている。

だからオンナと距離をとる。

………ホントの自分を見つけてくれる奴を探しているんだと思う。

でも、その目的を達成してくれるオンナはいなかったんだとおもう。

大河が初めて髪を染め出した頃。

”その噂”は立ち始めた。

”だれでもヤる”とか酷いその噂。真実の欠片もないそれは間違いなく大河の心を蝕

んでいく。

その噂の期待に答えるように、大河は遊び人になっていった。

年下、年上、人妻………手当たり次第に当たっていく。

目は死んでいて、人間味もない。

本当の大河の気持ちは分からない。
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