深紅の薔薇姫に愛を
お風呂は総長室にあるという。それ以外の人は大浴場で入るらしい。

どんだけ金持ちなのっておもうけど。

あたしは、もって来たカバンから私服を取り出す。

赤いオフィシャルに、長めのジーパン生地のスカート。

あたしのお気に入りの服だ。父親は最低の金額しかあたしに渡してこない。

だからなるべくお金を使わないように、そうして貯めて買ったものだ。

バスタブは白くて、全体が淡い系の色だ。

あたしはシャワーで髪を濡らす。

どんどん水を含んで重くなっていく漆黒の、髪。

鏡に映るのは、真っ赤な、唇をしたあたし。

いつだって、母親に似ていると、言われたこの顔。

そのせいで、父親に愛情を貰えなかったのかはわからないけど、あたしが気に入ら

なかったと、いうのはわかる。

父親はあたしをきっと恋愛の除け者としか思っていないのだろう。

あの家に、帰ってきたことはほんの数回しかない。

あたしのことは、きっとどうでもいいんだ。

髪をあらうと、あたしは長い髪をゴムでお団子にして体を、洗う。

真っ白に染まるそれ。いい香りを放つ。



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