深紅の薔薇姫に愛を
こんなに体を白く染めても、心の汚れは取れない。

どんなにもがいても、消えないものはそこにあってあたしの中であたしを苦しめる

あたしは泡を流し、お風呂を、出た。

あたしは棚からバスタオルを出すと、ふく。

髪、切ろうかな。そろそろ、腰より長くなってしまうし、なによりこの髪はあの人

が好きだといったのだから。

なんであたしはこの髪を切らなかったのだろう。

憎いあの人が好きな物なのに。

この髪も、この色も、この顔も、この心も。

全てを、捨ててやりたい。

あたしは服に着替え、髪を乾かさぬまま、幹部室へ向かう。

「おかえりー、麗薇、」

千鶴の声が聞こえただけで、目が合わない。

しかも、なんか顔赤いし。

………そっか、オンナのお風呂上がりだもんね。

あたしに欲情なんてする男いないと思うけど、

あたしは近くのソファーに腰かけた。

「ねぇ、あたし髪きろうかな?」

って呟いてみた。どんな反応をするのだろう。

「へぇー、いんじゃない。」

あんまり興味なさそうな千紘の声が聞こえたきがしたんだけど。


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